くすの木歳時記

「歯」のお話

 いつも軽いお話の「歳時記」ですが、たまには(?)まじめなお話を(笑)。
で、なんで耳鼻科で「歯」の話? 
実は、耳鼻科疾患と歯はとても密接な関係。
 右図の「副鼻腔」、これは顔の骨の中の空洞。ここは鼻の中と狭い通路でつながってます。この空洞に炎症が起きて膿がたまるのが「副鼻腔炎」いわゆる蓄膿症。たまった膿が鼻から出たのが黄鼻、のどに流れて口から出たら痰。だからティッシュに取れば、黄鼻も痰も区別つかないでしょ?
 で、特にこの「副鼻腔」の中の「上顎洞」(ほっぺたの所)の床が歯ぐき。
 そうです!賢い皆さんはすでにおわかりですよね!上の歯の虫歯とかがひどくなると、その炎症が「上顎洞」に及んで蓄膿(歯性上顎洞炎)になるんです。
 
   
 と、理屈では解っていても、実は院長も、かなり歯ではつらい思いをしました。大人になってからですが、「歯根膿瘍」とやらの歯の根っこに膿がたまる!これがとてつもなく痛くて鎮痛剤も無効。医院の休診日を待ってかかりつけの歯医者さんに駆け込んで、膿を抜いてもらった時は歯医者さんが神様に思えました(笑)。
 「日頃のケアが大事、3か月に1回は来るように」と言われつつも、「のど元過ぎれば」。一年くらいしてまた次の歯。そんなことを繰り返し・・・ 
 ある日、当時校医だった芙蓉小学校の校医の集まりに出席したとき、そこの歯科校医の先生が「うがいだけでも80%はきれいになります。でも毎日10分の歯磨きを」と。 10分? えぇ~! そしたら、お若い養護教諭の先生が「私はお風呂に歯ブラシもっていくんですよぉ~。湯船につかりながら」 目からうろこでした。
 私事、とんでもない田舎の出。幼少時(昭和30~40年代)は、とにかくなんでも素早くの時代。お風呂も高校生までは屋外の風呂小屋で五右衛門風呂に薪をくべてましたので、ゆっくり風呂につかるなんて。 のんびり歯磨きしてたら叱られました(笑)。 風呂は10分、食事も10分、まぁこの習慣は研修医時代には役に立ちましたが・・・
 でも、時代は変わりましたよね。それでも湯船には5分以上浸かれない、で、この養護教諭の先生のお言葉。さっそく電動歯ブラシを購入。30秒ごとに振動でお知らせしてくれるのでそれを目安に。そのうち、歯科助手さんの助言を素直に聞いて歯間ブラシも。今は、湯船につかりながらの「歯のケア」が「趣味」になりました。
 かつて佐賀県は小学生の虫歯率が全国ワーストワン(だったと)、その後学校の保健活動、乳幼児検診での活動で汚名挽回がなりました。でもどうしても社会人になると仕事の多忙でついつい歯のケアは・・・
 でも歯は本当に大事なんです! 「食べる愉しみ、噛む愉しみ」はたとえ老いても・・・
院長、必ずのどを診るときには「歯」まで診ます。で、しょっちゅう口うるさく「歯磨き!歯垢!歯肉が!」と・・・
 すべて自分のつらい経験から。 おまけに私事、歯磨きに対する姿勢が違った老親の老後の違いをみてで・・・
歯は歯ぐきの骨にはえてますよね。その根っこが化膿したら「骨髄炎」なんです。仮にスネの傷が化膿してそれが骨に及んだら、みなさん大騒ぎするでしょ?

アラブのことわざで
 「4つのものはかえってこない。
   口にした言葉、放たれた矢、過ぎた人生、失った機会」

とあります(訳が間違ってたらごめんなさい、でも大意はこうだと)。
 
 そこに一つ付け加えたい。 それは
 「抜けてしまった永久歯」!!! 
皆さん、今一度、歯の健康を!!!